●原題:BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU’RE DEAD/2007年/アメリカ、イギリス/117分/2008年10月11日(土)から恵比寿ガーデンシネマほかにて日本公開
●配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
●配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
シドニー・ルメット監督の映画的な語り口の上手さ

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まあ、なんとも救いようのないアホな男たちの話である。救いがあるとすれば物語の内容や人物たちのキャラクターではなくて、その出来事を語るシドニー・ルメット監督の水際だった映画的な語り口の上手さであり、そのアホたちを演じる俳優たちの見事なリアリズム演技である。とくにシドニー・ルメット監督はもう84才だというのに、この複雑に入り組んだややこしい構成のシナリオを明快にさばいて、ぐんぐん盛りあげてゆくエネルギーには感服つかまつる。
うだつのあがらない、兄弟の強盗計画
ニューヨークの話である。自分の事務所をかまえて一見優雅に暮している会計士のアンディという中年男が、うだつのあがらないダメ男の弟ハンクから金を無心されて、じつは自分も金に困っていたので、自分が秘かに計画した強盗計画を弟にやらせることにする。
その計画というのが話として工夫のあるところだ。じつは自分たち兄弟の本当の両親が経営している郊外の宝石店に押し入って強盗をやれというのだ。両親ではなく代わりの人が店にいるときなら分らないし、どうせ商品には保険がかけてあるから両親は損はしない、という頭のいい計画だったはずなのだが、どっこい、そう都合どおりにはゆかない。ほんのちょっとした想定外のことが重なるだけで、みるも無残な凶悪犯罪に進展してしまう。
その計画というのが話として工夫のあるところだ。じつは自分たち兄弟の本当の両親が経営している郊外の宝石店に押し入って強盗をやれというのだ。両親ではなく代わりの人が店にいるときなら分らないし、どうせ商品には保険がかけてあるから両親は損はしない、という頭のいい計画だったはずなのだが、どっこい、そう都合どおりにはゆかない。ほんのちょっとした想定外のことが重なるだけで、みるも無残な凶悪犯罪に進展してしまう。
今という時代の掴みどころのなさを代表する俳優、P・S・ホフマン
この小さな事件から今のアメリカの金融危機を連想するのは飛躍のしすぎだと思うけれども、保険という制度を悪用した知能犯のつもりが、ちょっとした想定外のことで惨事に至るというあたり、時代の空気と鮮やかに合致した作品だとも言えるだろう。その連想の鍵になっているのは、この小ざかしい計画の立案者である兄をフィリップ・シーモア・ホフマンに演じさせた配役の妙にあると思う。
見たところ、ただの凡庸なビジネスマンにすぎないが、じつはとんでもない愚かなことを考えている。そして自分の愚かさに気づいていないとんでもない間抜けだ。そういう掴みどころのない得体の知れない人物として、フィリップ・シーモア・ホフマンはこの役を演じている。悪役なら悪役としてタイプで掴める人間ではないところが不気味であり、面白いし、今という時代の掴みどころのなさを代表する俳優ではないか、と思うのである。
見たところ、ただの凡庸なビジネスマンにすぎないが、じつはとんでもない愚かなことを考えている。そして自分の愚かさに気づいていないとんでもない間抜けだ。そういう掴みどころのない得体の知れない人物として、フィリップ・シーモア・ホフマンはこの役を演じている。悪役なら悪役としてタイプで掴める人間ではないところが不気味であり、面白いし、今という時代の掴みどころのなさを代表する俳優ではないか、と思うのである。










































