『落語娘』
●2008年/日本/109分/2008年8月23日よりシネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋、新宿ミラノ3ほかにて順次日本公開
●配給:日活
●配給:日活
意外に師弟関係にはこだわらない落語界

© 2008「落語娘」製作委員会
落語家たちの社会は師弟関係というのが面白い。一般に伝統芸能の伝承というと、修業の厳しさということばかり言われて、とっても辛そうだという感じしかしないのだが、落語家たちの話を聞いていると、師匠や兄弟子を巧みに辛らつにからかったりして、ハラハラさせられることさえある。まあ落語の芸の真骨頂は人の愚かさをからかうことの楽しさにあるのだから、師弟関係でも、弟子は師匠の言動のおかしなところを見事に浮彫りにしてみせるぐらいのことが当然要求されるのだろう。またこの『落語娘』にも出てくるが、落語界では修業中に弟子たちは師匠の許しを得て他の師匠のところに芸を習いに行くことが普通に行なわれている。この噺は誰が上手い、この噺なら誰、という定評があって、意外に師弟関係にこだわらないのだ。こういうところは学閥の厳しい大学なんかが大いに見習うべきことではないだろうか。学生が教師を選んで大学を渡り歩くことができたら大学もよほど楽しいところになるのではなかろうか。
落語業界がリアルに描かれて
中原俊監督の『落語娘』は小気味のいい出来ばえのエンタテインメント作品であって、べつにそんな教育問題や伝統芸術の継承についてモノ申すというような固い内容ではない。でも、そんなことを考えながら見て面白がることもできるくらい、しっかり作られている。それだけこの業界がリアルに描かれているわけだ。もっとも落語の監修に当たった柳家喬太郎師匠は「今どきの落語界にはあんなセクハラや意地悪はありえない」と言ったと中原監督はこの映画の宣伝パンフレットのインタビューで明かしているので、誇張があることも確かだ。
ミムラの演じる大学の落語研究会で鳴らした女性が、落語家になりたい一心で益岡徹の演じる謹厳な師匠を訪ねるが、江戸前の芸の伝統を守ろうとするこの師匠からは女は弟子にはとらないとことわられる。そこを弟子に拾ってくれるのが、いまどきまだこんな芸道のアウトローみたいな芸人がいるのかと思うような奇行で鳴らした噺家で、これをもう芝居っ気たっぷりに楽しそうに演じるのが津川雅彦。
ミムラの演じる大学の落語研究会で鳴らした女性が、落語家になりたい一心で益岡徹の演じる謹厳な師匠を訪ねるが、江戸前の芸の伝統を守ろうとするこの師匠からは女は弟子にはとらないとことわられる。そこを弟子に拾ってくれるのが、いまどきまだこんな芸道のアウトローみたいな芸人がいるのかと思うような奇行で鳴らした噺家で、これをもう芝居っ気たっぷりに楽しそうに演じるのが津川雅彦。
演技は津川の独断場だが、ミムラも益岡もいい
というわけで、津川とミムラの師弟愛が第1テーマ。益岡と津川の落語観の対決が第2テーマ。そしてこの2つのテーマがぶつかって火花を散らすエピソードとして、何人もの演者が終わりまで語りきることなく死んだといういわくつきの怪談噺の上演になる。はたしてそれは芸として外道かどうか。この噺を本格的に作って、ホラーとしてもけっこう印象的な場面をいくつかつくり出している。
演技は津川の独壇場だが、ミムラも懸命さがいいし、益岡も味がある。
演技は津川の独壇場だが、ミムラも懸命さがいいし、益岡も味がある。







































