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完全停止のうんざり最新作
ついにミイラになる時が来た

トッド・マッカーシー
2008/08/21

●原題:THE MUMMY: TOMB OF THE DRAGON EMPEROR/2008年/アメリカ/112分/2008年8月16日(土)から日劇1ほか日本公開
●配給:東宝東和

(C) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
(C) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.


 第3弾を迎えた『ハムナプトラ』シリーズ。なくてはならないものや砂埃、欲望など、全てが揃っていながらも、このシリーズには、ついにミイラになってもらう時が来たようである。舞台を第2次大戦後に移し、主人公と大学生の若者がアドベンチャーを繰り広げるという、最近、復活した『インディ・ジョーンズ』シリーズをかがみ写しにしたような(ある意味これだけでうんざりな)最新作となってしまっている。中国という設定を新しい宣伝アングルに採用しているため、ブレンダン・フレイザー主演のシリーズ第2作までを見るために、これまで8億ドルもの鑑賞料を支払った世界中の観客に加え、今回は、特にアジアでのビジネスが盛り上がることが期待されている。が、作品自体がありきたりで低級ということで、かつて人気のあったコンセプトに対する大衆の興味が、7年という時を経た後でも持続可能かということを試す、興味深いテストとして見ておくのが妥当というところだろう。

動きの遅い冒険物語を完全停止させてしまった脚本

 2000年の時を経て蘇る1万体の兵馬俑(へいばよう)の描写などで本領を発揮している視覚効果は別として、作品そのものは、どこまで行っても安っぽさが拭えない。一般的に言われるように、映画は脚本から始まるものだとすれば、この『シャンハイ・ヌーン』やテレビ・シリーズ「ヤング・スーパーマン」を手がけた脚本家アルフレッド・ガフ、そしてマイルズ・ミラーによる作品も、もっと早くに何かが欠けていることに気づくべきだったのかもしれない。家族の問題を話題にした悲痛とも思えるような台詞の数々が、それでなくても動きの遅い冒険物語を完全に停止させてしまっているところに至っては、なおさらである。

 1933年ごろのエジプトを舞台にした前作で、ザ・ロック演じるスコーピオン・キングとの戦いを制し、ナチス打倒を助けたリック・オコーネル(フレイザー)が、今回は1946年に登場。豪華なイギリスの邸宅での家庭生活に、すっかり慣れきってしまった彼に向かって、妻エヴリン(レイチェル・ワイズが抜けた代わりにマリア・ベロが演じている)は、過去の冒険を書いて大ヒットしている小説シリーズに、新しいネタが欲しいと言い出している。リックは考古学や探検からは足を洗ったというが、言うほどのこともなく、すぐさま説得されてしまうと、エヴリンとともに上海に赴く。2人はそこで、ナイトクラブで遊び暮らすエヴリンの兄ジョナサン(再び出演しているジョン・ハンナ)、そして2人の向こう見ずな息子アレックス(ルーク・フォード)に遭遇してしまう。

アクションたっぷりに紹介される“皇帝”のくだり

 どうもアレックスは、両親から向こう見ずな大胆さと強運を受け継いでいるようで、研究者たちが捜し求めていたものの、中国のどこかの砂漠の下に埋もれ、ついぞ見つかることのなかった皇帝の墓と彼の巨大な軍隊を納めた部屋を、偶然にも見つけてしまっていた。この皇帝のくだりは、映画のプロローグにあたる部分で、アクションたっぷりに紹介されている。時は紀元前50年、当時国を統治していた冷酷な皇帝(ジェット・リー)が、彼に不老不死の力を約束した魔女(ミシェル・ヨー)を裏切ってしまう。裏切られた魔女は、復讐のために皇帝を、いつ終わるとも知れぬ辺獄、生と死の狭間へと閉じ込めてしまったというのである。

 伝説の皇帝の威光を借り、権力を者にしようとする二枚舌の将軍(1946年当時、どこの政党についていたかはっきりとは描かれていない)に助け出され、ミイラ化してカチカチの皮膚になったままの伝説の皇帝は上海へと向かう。それは成仏して楽園に向かう旅でもあったのだが、その間に、さまざまな人間や、そうでないものに変身して、オコーネルたちと激しい戦いを繰り広げる。オコーネルの仲間もだんだんと増えていき、魔女や、ずるがしこい謎の女(イザベラ・リョン)、そして彼らをヒマラヤまで連れて行ってくれる、ちょっと頭のイカれている老パイロットまでが加わっている。

どんな仕掛けを凝らしても興奮を生み出すことはなし

 この作品、全ての要素が揃っていることは揃っている。聞いたこともないような不老不死の薬、秘密の宝石、古の上海が持つ身を滅ぼすような誘惑、ある特別な方法を用いないと絶対に死ぬことがない悪役、ずうずうしくて向こう見ず、時にはへまをやらかすアメリカ人、数千年の恨みに憎しみを露にし、ほかの生物に姿を変えることもできるミイラなど。しかし、そういったことに、もう1度火を通そうとしても、気が抜けてしまっていることを隠すことはできず、どんなに仕掛けを凝らしても興奮を生み出すことはなく、ただただ失敗だったことを露呈するだけで、見れば見るほど以前見たシーンのほうが、よっぽどうまく出来ていたなということを思い出すだけという始末である。

 以前には、アドレナリンが出まくりの作品(言わずと知れた『ワイルド・スピード』なのだが)を物にすることができた監督ロブ・コーエンだが、本作では、ほとんどのアクション・シーンを中途半端なクローズ・アップで撮ってしまったり、浮かれたように勝手気ままな編集を繰り返したりと、完全な失敗を犯している。撮られた映像も登場人物間の位置関係や近しさを十分に伝えているものではなく、その上、興奮やサスペンスも提供してくれていない。映画的なアクション演出に対する、どんな名目上の水準で見ても、この作品は、その大半の部分においてチグハグである。

ギクシャクした演技の要因は、俳優なのか役柄なのか

 前半部分で少々リラックスしすぎと思えるフレイザーは、名だたる共演者たちとスポットライトを共有しなくてはならず、前作までのノリを見つけるのも所々といった様子。この映画シリーズ、フランチャイズの要として、もっと多くのアクションや気の利いたセリフを彼の役に盛り込むよう、脚本の改正を求めるなど、いわゆる、初夜権(中世ヨーロッパで、領主が、その土地で結婚する娘との初夜を過ごすことのできる権利)を行使してもよかったのではないかとも思える。とても現代的な風貌を持つベロでさえも、役柄に似合っておらず、甲高いイギリス風アクセントを真似たり、戦闘シーンではギクシャクしてしまったりと、いいところがない。アレックス役のフォードも、全体的にじれったく、見ていてイライラする。このオーストラリア出身の新人が見せる今後の演技を見てみないと、今回の失敗が俳優そのものに起因しているのか、それとも役柄に起因しているのかわからないといったところだろう。

 アジアからのゲスト俳優たちは、衣装やキャラクターのコンセプトにがんじがらめになっているが、その中でも、運命を握る魔女役のヨーが、もっとも多くの機会を与えられている。リーは、出演シーンのほとんどを部分的にミイラ化されたCG画像による姿で過ごしているため、人間とわかる姿で画面に登場するのは、冒頭とエンドのシーンだけという具合である。

4番目の『ハムナプトラ』があるとしたら、舞台はペルー?

 製作面の価値は、巨大な上海の街並みを作り上げたサウンドステージから、より印象的なクライマックスのバトルシーンの舞台となった砂の荒地まで、相当なものである。エンド・クレジットは、文字通りエンドレスで、とにかくヘア担当部門の通訳などという細かいものまでクレジット表記されている。

 もし4番目の『ハムナプトラ』があるとすれば、そんなことは考えてもほしくないが、物語の中で示唆されている限り、ペルーが舞台になるのだろう。

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