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第60回エミー賞発表&4つの傾向
ケーブル躍進、視聴率不振、司会者賞に冷視線、政治色濃厚

2008/09/23
 第60回プライムタイム・エミー賞の授賞式が21日(日)、ロサンゼルスのノキア・シアターで行われた。今年の傾向を4つのポイントで振り返ってみよう。

ケーブル局の躍進

ボールドウィン、フェイ、クランストン、クロース(左上から)と“30 Rocks”、“Mad Men”受賞の様子
ボールドウィン、フェイ、クランストン、クロース(左上から)と“30 Rocks”、“Mad Men”受賞の様子
 今年のエミー賞を「ケーブル・エース賞(ケーブル局のための賞)」とたとえる声もあるほど、ノミネート段階から注目されていたケーブル各局の躍進。ふたを開けてみれば、ベーシック・ケーブル局(ある程度受信料を払えば見られるスポンサー付きのケーブル局)による番組としては初めて、AMCの“Mad Men”がドラマ部門の作品賞に輝く快挙となった。

 同部門では、さらにFXの「ダメージ」が主演女優賞(グレン・クロース)、助演男優賞(ジェリコ・イヴァネク)を、AMCの“Breaking Bad”が主演男優賞(ブライアン・クランストン)をもたらしたほか、ミニシリーズ部門では過去最多となる13部門を制した有料ケーブル局HBOの“John Adams”が、作品賞のほか助演男優賞(ポール・ジアマッティ)、主演女優賞(ローラ・リニ—)、助演男優賞(トム・ウィルキンソン)を制した。

 一方の地上波局は、NBCの“30 Rocks”がかろうじて、作品賞、脚本賞、主演女優賞(ティナ・フェイ)、主演男優賞(アレック・ボールドウィン)を持ち帰ったものの、全体としては、ケーブル局の勢いを証明する受賞結果となった。

授賞式の視聴率不振

人気司会者コナー・オブライエンと視聴率に悩む地上波局の図
人気司会者コナー・オブライエンと視聴率に悩む地上波局の図
 ニールセン・メディア・リサーチによれば、ABCによる授賞式放映の平均視聴者は1220万人で、昨年、FOXで放映された際の平均視聴者数1295万人を下回る最低記録となった。同時間帯には、NBCでNFL注目のダラス・カウボーイズ—グリーンベイ・パッカーズ戦が中継された「サンデー・ナイト・フットボール」、CBSで米大統領候補バラク・オバマとジョン・マケインのインタビューが披露された高視聴率ニュース番組“60 Minutes”を放送。“スポーツと政治に翻ろうされるテレビ番組”の縮図は、秋の新番組スタートを迎える各局に不穏な影を投げかけることになった。

新設「司会者賞」に冷視線

司会者賞にノミネートされたシークレスト、Tom Bergeron、クルム、Howie Mandel、Probst(左から)
司会者賞にノミネートされたシークレスト、Tom Bergeron、クルム、Howie Mandel、Probst(左から)

 今年から新設されたリアリティ/コンペティション番組の司会者賞には、ライアン・シークレスト(「アメリカン・アイドル」)、Jeff Probst(「サバイバー」)、ハイディ・クルム(「プロジェクト・ランウェイ/NYデザイナーズバトル」)ら5人がノミネート。そろって司会に挑んだものの、その試みは苦い結果に終わったようだ。冒頭でオプラ・ウィンフリーがテレビの影響力や60回目を迎える授賞式へのトリビュートなどをスピーチし、実質上、語るべきことが残されていなかった5人は、苦肉の策で間延びした“時間つぶし”の司会ぶり。

 結果、後半の重要な部門発表のころには、時間切れでスピーチもままならない駆け足進行となり、受賞者やプレゼンテイターからは、「僕がここで12分も話し続けたらどうなるかね?」(ジェレミー・ピ-ヴン)、「1分で終わらせるから」(スティーヴ・マーティン)、「俳優以外のスピーチは短く済ますものだよ。悲しいけれど、誰も聞きたくないんだから」(リッキー・ジャーヴェイス)と皮肉の連続。一夜明けた22日(月)には、シークレストとProbstが自身の番組で、「録画したビデオは見たくないね。新しい部門ができたことを誇らしく思うけれど、僕らはまだ継子(ままこ)という感じだね」と疎外感をにおわせていた。

米大統領選を目前ににじみ出る政治色

“John Adams”プロデューサーのトム・ハンクス
“John Adams”プロデューサーのトム・ハンクス
 アカデミー賞やエミー賞などの授賞式では、司会やスピーチの中に政治的コメントを含めることがよくあるが、11月7日に迫った米大統領選を前に、今回も政治色が色濃く反映された。ミニシリーズ部門を制した“John Adams”はアメリカの第2代大統領を描き、テレビ映画部門に輝いた“Recount”は、2000年の米大統領選を舞台とした政治ドキュメンタリー・ドラマ。

 “John Adams”のプロデューサーであるトム・ハンクスは、「ジェファーソンとアダムスの間で繰り広げられた大統領選は、あてつけとうそ、党員による圧迫、偽情報に満ちたものだった。今はその時代から大きく前進したものだよ」と現選挙戦を嘆く痛烈な皮肉。同番組で主演女優賞を受賞したリニーは、オバマの地域社会活動を批判する共和党陣営へ“逆批判”の意味を込め、「この番組に出たおかげで、我々の国をよくするため、地域活動に励む人々へ心から感謝をすることができた」とスピーチした。

 また、政治色が強い司会ぶりで有名なトーク番組のジョン・スチュワートスティーヴン・コルバートは、現ブッシュ政権を暗示する「8年間もかけて熟しすぎ、すっかりシワシワになってしまったプルーン」をムキになって食べ続けるコルバートをあきれ顔で見つめるスチュワートという図を演出することによって、早急な“ホワイトハウス改革”を訴え、喝さいを受けた。

主要各部門の受賞結果は、下記の通り。

●作品賞(ドラマ部門) “Mad Men” (AMC)
●作品賞(コメディ部門) “30 Rock” (NBC)
●作品賞(ミニシリーズ部門) “John Adams” (HBO)
●作品賞(テレビ映画部門) “Recount” (HBO) 
●作品賞(リアリティ/コンペティション番組部門) “Amaging race“ (CBS)
●主演男優賞(ドラマ部門) ブライアン・クランストン “Breaking Bad” (AMC)
●主演男優賞(コメディ部門) アレック・ボールドウィン “30 Rock” (NBC)
●主演女優賞(ドラマ部門) グレン・クロース 「ダメージ」 (FX)
●主演女優賞(コメディ部門) ティナ・フェイ “30 Rock” (NBC)
●助演男優賞(ドラマ部門) ジェリコ・イヴァネク 「ダメージ」 (FX)
●助演男優賞(コメディ部門) ジェレミー・ピ-ヴン 「アントラージュ★オレたちのハリウッド」 (HBO)
●助演女優賞(ドラマ部門) ダイアン・ウィースト “In Treatment” (HBO)
●助演女優賞(コメディ部門) ジーン・スマート “Samantha Who?” (ABC)
●主演男優賞(ミニシリーズ/テレビ映画部門) ポール・ジアマッティ “John Adams” (HBO)
●主演女優賞(ミニシリーズ/テレビ映画部門) ローラ・リニ— “John Adams” (HBO)
●助演男優賞(ミニシリーズ/テレビ映画部門) トム・ウィルキンソン “John Adams” (HBO)
●助演女優賞(ミニシリーズ/テレビ映画部門) アイリーン・アトキンズ “Cranfold(Masterpiece Theatre)” (PBS)
●司会者賞(リアリティ/コンペティション番組部門) Jeff Probst 「サバイバー」 (CBS)
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