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エジプトの巨匠ユーセフ・シャヒーン82歳で死去

2008/07/29
ユーセフ・シャヒーン監督(2004年のカンヌ映画祭)
ユーセフ・シャヒーン監督(2004年のカンヌ映画祭)
 エジプトの巨匠、ユーセフ・シャヒーン監督が27日(日)、カイロで死去した。82歳だった。中東通信社MENAによると、6月半ばにフランスで脳出血のため倒れ、現地で集中治療を受けていたが、帰国後にそのまま入院した病院で亡くなったという。

 妻はフランス人のコレットさんで、子どもはいなかった。

 1926年1月25日、レバノン人の両親の下に生まれる。47年、俳優を目指して渡米し、ロサンゼルスで演技を学ぶが、帰国後の50年に“Baba Amin(Father Amine)”で監督としてデビューした。

 フェデリコ・フェリーニ的なしゃ脱な作品をはじめ、社会のゆがみやイスラム原理主義をテーマにした作品を世に送りだしてきた。多岐にわたる作品群は、特にフランスで人気があり、97年のカンヌ映画祭ではその功績を称え全作品に対する特別賞がおくられた。同年にはアレキサンドリア3部作の1本『アレキサンドリア WHY?』でベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞している。

 海外では高い評価を得ていたが、あからさまな性描写や圧政へのするどい批判、また後年のイスラム原理主義を告発するなど、エジプト国内では物議をかもすことが多かった。アラビア語よりも英語やフランス語を流ちょうに話し、監督作の多くにフランスの資本が入ったことも、祖国エジプトでは純粋なアラブ人、エジプト人ではないという批判につながった。しかし、エジプト社会の底辺を描写した初期の作品は、社会的リアリズムを代表する名作と評されている。

 アレキサンドリア3部作『アレキサンドリア WHY?』、“An Egyptian Story”、“Alexandria Again and Forever”は、幼少期をつづった自伝的作品。写実的スタイルから一転、幻想的なシーンやミュージカル、シュールレアリズム的な映像へと変ぼうを遂げ、フェリーニと引き合いに出されるようになる。また『アレキサンドリア WHY?』では恋愛関係を扱い、1つはゲイ(エジプト人男性とイギリス兵士)、1つはイスラム男性とユダヤ女性の恋愛という、大きなタブーに挑戦した。

 2007年、カンヌ映画祭60回記念で上映された短編オムニバス『それぞれのシネマ』の1編『47年後』を監督。遺作は、同年の“This Is Chaos”で、民主化運動を弾圧するエジプト政府への鋭い批判を示していた。

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