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米スタジオ側が製作会社にP&A要求
配給手数料のみに集中しリスクヘッジをとる米スタジオの傾向

2008/10/28
『アイアンマン』
『アイアンマン』
 世界的な金融不安のなか、アメリカの製作会社を取り巻く環境が一段と厳しくなっている。かつて、スタジオと配給契約を結ぶにあたり、映画のP&A(プリント代と広告費)はスタジオ側が負担するのが常だったが、いまでは製作会社が負担することが義務になってきているという。

 マーベル・スタジオは米パラマウントとの配給契約を更新したばかりだが、『アイアンマン』の続編を含む今後5作品は、マーベルがP&Aを負担する条件になっている。マーケティング費用はパラマウントが負担するが、興行収入が上がった時点で返却されることになる。

 この要求は、スタジオ側のコスト削減と、利益を少しでも増やすための戦略である。すでに年間製作本数は減り、インディペンデント系映画部門の閉鎖や売却が進むなかでは、配給契約に関しても厳密に手数料を受け取る仕組みに移行することは時間の問題と見られていた。

 スタジオ側には理にかなった戦略だ。製作会社の作品を契約に基づき配給する場合、スタジオはその映画の権利を所有しない代わりに、P&Aをカットすることで損失リスクを最小限に抑えることができる。一方で配給作品がヒットした場合、自社で製作したかのように自慢することもできる。今夏、『アイアンマン』と『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国』を配給したパラマントにように。

“W.”
“W.”
 より多くの資金を調達することになった製作会社にとっては厳しい状況となったが、悪いことばかりではない。P&Aを自社で負担することで、製作会社は自社作品を製作から公開まで完全にコントロールすることができる。また、8%から12%の配給手数料をスタジオに支払ったあとは、その作品の展開は自由に操作できる。

 P&Aを自ら負担するようになったいま、どの製作会社もルーカスフィルムやマーベル、ドリームワークスといった大手と同じ立場になったといえる。しかし、同時にオーヴァーチュアやサミット、ヤリ・フィルムズ、2929エンタテインメントのように、製作と配給を自社で手がけるインディ映画会社が増えることも予想される。

 いずれにせよ、心配のタネは増えるばかりだ。製作費の調達には、スタジオとの契約が必要となる。だが、これからはそこにP&A費用も必要となるのだ。

 Participantのオリヴァー・ストーン監督“W.”は、製作費を中東から、P&A資金2500万ドルはオーストラリアのOmnilab Mediaから集めており、米国ほか数カ国の配給をライオンズゲートが担当しているという枠組みだ。

 スタジオとの配給契約が変わったことで、今後、製作される作品が変わってくる可能性がある。スタジオのP&Aをあてにできたときは、製作会社はリスキーな作品に挑戦することができた。しかし、今後は商業性の強い作品ばかりが作られることになるかもしれない。

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