
白井久也
1996年東京大学経済学部経営学科卒業後、数々の証券会社を経て、2005年5月にモルガン・スタンレー証券㈱に入社。コーポレート・クレジット部にてプリンシパル投資業務に従事。特に、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界とのネットワークを生かし、当該業種への幅広い投融資を検討・実行。今般、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界の分野に特化したブティック型の投資および金融サービスを提供するホワイト・ノーツ( http://www.whitenotes.jp)を設立。
1996年東京大学経済学部経営学科卒業後、数々の証券会社を経て、2005年5月にモルガン・スタンレー証券㈱に入社。コーポレート・クレジット部にてプリンシパル投資業務に従事。特に、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界とのネットワークを生かし、当該業種への幅広い投融資を検討・実行。今般、メディア・エンタテインメント・コンテンツ業界の分野に特化したブティック型の投資および金融サービスを提供するホワイト・ノーツ( http://www.whitenotes.jp)を設立。
少し古いデータになるが、弊社の行った調査で興味深い結果が出ている。
弊社基準に基づくメディア・エンタテインメント・コンテンツ(MEC)業界の上場会社357社を業種ごとに細かく分類していき、会社ごとに発表される開示情報をベースに借入れと自己資本の割合を調べてみたところ、ほとんどの業種分類で自己資本に対する借入れの比率が中央値でゼロという結果を得た(中央値とは、各社の借入れの自己資本に対する比率を小さいものから並べたときに中央に位置する値)。
また227社の純有利子負債がマイナス値、130社の純有利子負債がプラス値であり、借入れを行っている会社は全体の約3分の1程度であった(純有利子負債は、有利子負債から現預金を差し引いた金額。現預金が有利子負債よりも大きい場合マイナスとなる)。一言で言ってしまうと、レバレッジ(=他人の資金も活用して、より効率の良い資金調達を行う効果)がつきにくい環境にあると言える。要するに銀行などにとっては、「MEC業界の事業の見方が分かりにくい」という理由から、融資をしにくい環境であることを意味する。
我々のリサーチでも、不動産を保有している企業群やインフラ施設(設備)を保有している企業群などは、自己資本に対する借入れの比率が高いという結果がある。要は、目に見えた担保があればお金の融通が効くが、担保がなければ融資を受けるのは、原則、難しいということになる。ある意味分かりやすい論理で一定の理解もできるが、MEC上場会社の売上合計だけでも約45兆円であるこの業界の借入れの、自己資本に対する比率の大半がゼロというのは、やはり違和感がある。
上述のレバレッジの効果があると、どのようなメリットがあるのか例示したい。簡単に言うと、100億円の資金を使って翌年110億円の収益を生み出すことを考えた場合、100億円を全て自己資金で賄(まかな)った場合は、利益率は10%になる。一方で、レバレッジを活用すると同じ110億円の収益を生み出す場合でも、利益率は異なってくる。
弊社基準に基づくメディア・エンタテインメント・コンテンツ(MEC)業界の上場会社357社を業種ごとに細かく分類していき、会社ごとに発表される開示情報をベースに借入れと自己資本の割合を調べてみたところ、ほとんどの業種分類で自己資本に対する借入れの比率が中央値でゼロという結果を得た(中央値とは、各社の借入れの自己資本に対する比率を小さいものから並べたときに中央に位置する値)。
また227社の純有利子負債がマイナス値、130社の純有利子負債がプラス値であり、借入れを行っている会社は全体の約3分の1程度であった(純有利子負債は、有利子負債から現預金を差し引いた金額。現預金が有利子負債よりも大きい場合マイナスとなる)。一言で言ってしまうと、レバレッジ(=他人の資金も活用して、より効率の良い資金調達を行う効果)がつきにくい環境にあると言える。要するに銀行などにとっては、「MEC業界の事業の見方が分かりにくい」という理由から、融資をしにくい環境であることを意味する。
我々のリサーチでも、不動産を保有している企業群やインフラ施設(設備)を保有している企業群などは、自己資本に対する借入れの比率が高いという結果がある。要は、目に見えた担保があればお金の融通が効くが、担保がなければ融資を受けるのは、原則、難しいということになる。ある意味分かりやすい論理で一定の理解もできるが、MEC上場会社の売上合計だけでも約45兆円であるこの業界の借入れの、自己資本に対する比率の大半がゼロというのは、やはり違和感がある。
上述のレバレッジの効果があると、どのようなメリットがあるのか例示したい。簡単に言うと、100億円の資金を使って翌年110億円の収益を生み出すことを考えた場合、100億円を全て自己資金で賄(まかな)った場合は、利益率は10%になる。一方で、レバレッジを活用すると同じ110億円の収益を生み出す場合でも、利益率は異なってくる。
例えば、50億円を年率5%の借入れ(年間の利息2億5千万円)で賄って、残りの50億円を自己資本で負担した場合、50億円で110億円の収益を生み出すことと同義になる。ただし、借入れ50億円の返済と利息を支払う義務が発生するので、50億円の元本返済と2億5千万円はコストとして控除される。つまり、50億円に対して57億5千万円(=110億円-50億円-2億5千万円)の利益が得られることになり、利益率は15%(=57億5千万円/50億円)となる。同じ利益を得る場合でも、一方では10%の利益率であるのに対して、もう一方では15%の利益率が得られるということになる。MEC業界の借入れの自己資本に対する比率(中央値)がゼロに近いということは、この事例に例えるならば、前者の10%の利益率の業界ということである。借入れによる資金調達が可能になれば利益率が15%になり、その分、収益力が強化されることになる(もっとも、借入の増額により企業の安全性は低下するが)。
こういったレバレッジを可能にするためにはどのような事が必要か。第5回のときにも記載した通り、基本的には、コンテンツ自体のトレンド分析(定量分析)を行って対象コンテンツの収益性が確認でき、企業自体に事業執行能力があることが対外的に説明できれば、資金調達の多様化は実現できるのではないだろうか。
こういったレバレッジを可能にするためにはどのような事が必要か。第5回のときにも記載した通り、基本的には、コンテンツ自体のトレンド分析(定量分析)を行って対象コンテンツの収益性が確認でき、企業自体に事業執行能力があることが対外的に説明できれば、資金調達の多様化は実現できるのではないだろうか。




















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